日産のパイクカーシリーズ第2弾としてPAOは誕生しました(第1弾はBe-1)。
特にデザイン面において新しい挑戦が行われた日産のラインナップです。
デザインは坂井直樹氏と古場田良郎氏によるものです。坂井直樹氏は学生時代に渡米してTattoo T-shirtsの企画販売に成功し会社を設立。帰国後にテキスタイルから車、様々なプロダクトデザインを手掛けました。 坂井直樹氏はバイクにおいてもスズキ・SW-1などを手掛けられています。(他の作品はこちら:https://water-design.jp/works/)
パオ(PAO)は1989年に発売されました。カタログによると、当初は1989年1月15日~4月14日まで、3ヶ月間限定の受発注生産車両でした。 旅行やサファリの冒険気分を味わう車としてコンセプトされ、マーチをベースにして開発されました。 エンジン:1,000cc 直列4気筒SOHC。ATモデルはキャンバストップです。 生産台数は約50,000台ですが、ファンが多く、今でも普通に街中で見かけることがあります。
カラーは、コンセプトに従ってアースカラーを基調とした、アクアグレー・オリーブグレー・アイボリー・テラコッタです。 他のパイクカーラインナップと同じく、外装はフランス車を彷彿させるデザインで、とても日本車とは思えません。 内装も徹底したレトロデザインで統一されており、メーターもアナログ。ハンドルもスイッチも、ツマミ一つ取っても何もかも徹底されています。オーディオまでアナログメーター式のラジオチューナーで独特なチューニング動作は他の車では味わえません。 名前の由来はモンゴル遊牧民の家:パオ。 長期休暇を取って、PAO車内泊で日本や世界を巡ってみるのも良いのではないでしょうか。
PAOを含めて日産のパイクカーラインナップは、カーメーカー側から車を元にしたライフスタイルを提案していくような試みだったようで、アンテナショップとして東京都中央区に「PIKE factory」と言う施設が作られました。ここではグッズ販売だけでなく、レストランやバーなどもあり(椅子は全てPAOの座席を流用したものでした)。
上下開きのバックドアはアウトドアでのベンチとしても使えます。(跳ね上げたガラスが雨除けもなります。) また、PAOはフロント側の三角窓が開くようになっています。カーエアコンが一般的でなかった時代には、走行中の風を効率的に取り入れる開閉式の三角窓は大切な機能でした。PAOの発売当時は今ほどエコがさけばれていない時代でしたがエアコンをつけずに季節を感じながら走ってみようかなと思わせるこう言うところが時代を超えて愛される車両となっている所以かと思います。PAOと共に時間を過ごすだけで、自然を感じ豊かな時間を得る事ができるのです。 他にも、取って付けたようなドアミラー、各箇所のヒンジが外側についていたり、パイプ状のバンパーなど、あえて無骨で即物的な調度を取り入れている所に逆に趣を感じてしまう人は多いようです。
画像の出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nissan_Pao_%281989%29.jpg