子供の頃、日記帳を一冊書き切った記憶がない。弟は何年も日記を書き綴り、何冊もの日記帳が残っているようだが、僕は全然ダメだった。何ページかしか書かれていない日記帳が、きっと実家に残っている。勉強も好きじゃなかったし、何しろ続けることが苦手なのだ。いつも母親に「継続は力なり、だよ!」と叱咤激励されていたが、ダメだったなあ。。。
すっかりオトナになって、2000年暮れにホームページをスタートした。当時はブログなんて便利なものはなく、たかだか数行の日記更新でも『ピーヒョロヒョロ~』とダイヤルアップだったから今思えば大変だった。会社員を辞めて01年の春にモーターサイクルによるアメリカ大陸横断の冒険旅行に出かけたが、この時も重たいMacのノートパソコンを担いで、旅日記をアップロードし続けた。500~800キロぐらい走ってはモーテルで夜な夜なホームページの更新。毎日違うモーテルに泊まるので電話機の仕様も違うし、回線の事情も異なる。PC上でその日に撮った画像を整理・加工して日記を書いて、その作業だけならせいぜい1~2時間程度でも、電話回線を介してのアップロードに苦労して、空が白むまで悪戦苦闘したこともあった。でも当時は今ほど個人の情報発信が多くなかった為だろう、いい歳したオトコの浮世離れした旅のリアルタイム日記を面白がる人が多かったのか、日々アクセスカウンターは面白いようにグングン増えて、それが更新の活力、やり甲斐にもなっていたのだと思う。キャンプ道具も持参していたが、ホームページ更新という義務感からか、2ヶ月以上の旅でテントをはることはほとんどなかった。
帰国後、旅日記を見てくれたモーターサイクル雑誌の編集者から隔月誌連載の仕事を頂いた。旅日記や連載がきっかけで一生付き合っていくであろういい友人もできた。再就職を念頭においての辞職だったが、そんな考えはどこかに吹き飛んでしまい、気付けば絵を描いたり文章を書いたりすることが生活のベースになっていた。
その後も何誌かの連載を経験し、WEBや雑誌で発信することの面白さを知ってしまった僕は、2003年にクルマやモーターサイクル、自転車をテーマにしたフリーマガジンを自ら創刊した。思いつきでの発行ゆえ当初は赤字だったが、想像を遥かに超える反響が面白くてほぼ季刊ペースで発行を続け、来年1月の発行で20号を数えるまでになる。
フリーマガジンが縁で知り合ったクルマ業界の方の紹介で、2005年の暮れからCarTown.jpに毎週コラムを書かせて頂くようになった。今年6月からは週刊ギャラリーにリニューアル、イラストとコラムをアップするカタチで今も続けさせて頂いているのは読者の皆さんもご存知の通り。
今週のイラストは今年5月(6月号)から連載がスタートした月刊誌『クラブハーレー』の為に描きおろしたカスタム・ハーレーたち。(実は未発表のモノも混ざってます!)これも取材やテキスト制作まで含めて毎月のことなのでかなり大変なのだが、本になって手元に届いた時のページを開くワクワク感と、見ず知らずの方も含めたたくさんの読者からのコメントや応援メッセージを励みに、楽しみながら続けさせて頂いている。
振り返ると苦手だったハズの日記が起点となり、週刊、月刊、季刊での様々な創作、発表という流れが今の僕の生活の基盤になっていた。母が言っていた「継続は力なり」の意味が今になって理解出来るようになってきた。「馬鹿ねえ、遅いわよ!」と母の声が聞こえた気がした。