ある人物が僕に言った。「GAOさんの描くハンバーガーを見てみたいんです」と。
僕が普段描いているのはご存知の通りクルマやモーターサイクル、その他車輪のついた乗り物各種、それに付随して人物や背景など。食べ物を描くことはほとんどなかった。
冒頭のある人物とは松原好秀氏、『ハンバーガー普及活動家』で、超ニッチな専門誌(本人談)『HUMBURGER STREET』の発行人である。ハンバーガーの魅力に憑かれ、旨いハンバーガーを求めて日本全国を行脚、WEBでその情報を詳細にアップしていた松原氏が昨年秋一念発起、その内容を厳選し、独自の視点で考察を加えて読み物とし自費出版した雑誌『HUMBURGER STREET』創刊準備号(00号)は、書店では買えない言わば『インディーズ雑誌』。そして販売しているのは何と彼が取材してまわったハンバーガーショップ。そんな型破りなスタートを切りながら、丁寧な作りと販売方法が共感を得て初版を完売、増刷分も残りわずかだという。雑誌不況と言われる昨今にあって、上々の滑り出しと言って差し支えあるまい。
今年のはじめ、建築や内装のデザインを生業とする友人の紹介で知り合うこととなった松原氏の手元には既に友人を介して何冊かのORMが。その表紙のイラストから何かを感じてくれたのか、出会ったその日、挨拶もそこそこに僕は松原氏から冒頭の言葉を聞くことになった。「アウトドアをイメージするような明るく楽しげな感じ」彼からのオーダーは概ねこんなシンプルなものだった。
モチーフに選んだのは今春渡米の際にアメリカの大衆的なレストランで食したベーコンとチーズを挟み込んだ大きなハンバーガー。イラストに落とし込む上では、資料写真をそのまま描くのではなく、コンセプトに従って様々なアレンジも加えた。
バーガーの皿に添えられていたハッシュド・ポテトは、一般的なギザギザカットのポテトに、テーブルクロスはハワイアンシャツのパターンを参考にしたパイナップル柄に、そしてハワイアン・ブランドのビールを背景に、などなど。
松原氏のコメントももらいながら試行錯誤、いや、悪戦苦闘しながら仕上げたのが今回ご紹介するイラストである。
このイラストが表紙になった『HAMBURGER STREET』の最新刊、実質上の創刊号となる01号が、7/26より全国69店舗のハンバーガー・ショップで発売となった。
僕GAOは表紙デザインだけでなく、誌面にカラー2Pでコラムと写真も寄稿している。そこではアメリカのハンバーガーとクルマについての考察を僕の独断と偏見を交えてご紹介している。
ハンバーガーとクルマが大好きという皆さん、旨いハンバーガーを食しに行きがてら、是非この本、『HAMBURGER STREET』を手に取ってみて下さい。
Web版『HAMBURGER STREET』(販売中のショップ一覧もこちらから!)
http://hamburger.jp