その名前だけでなく、刺激的なスタイリングや乗り味までもが、しばしば毒蛇に例えられるクルマ、Cobra。60年代に英国で作られたアメリカン・ハートを秘めたCobraの中でも、人気の高い427c.i.(約7,000cc)V8エンジン搭載のモデル、その精巧な復刻版にかつて試乗したことがある。強い憧れをもって、正直さまざまな事情が許せば所有したいとすら思っていただけに、かなりの期待を持ってステアリングを握ったことは言うまでもない。
レーシングカーの如き剛性感、強大なトルク感、重くソリッドなステアリング、シフト、ペダル類。。。
現代の公道を行くにはあまりにも現実感の乏しい雰囲気。走り出して数分で、その強力な毒気にすっかり参ってしまった。グラマラスなボディーとサウンドは端から見ている限り本当に魅力的だが、ひとたび手を出すと大やけどしてしまいそう、それがほんの僅かの間でも感じ取れた、貴重な機会だった。
試乗後の僕の率直な感想、それは「Cobraは憧れのままにしておくことにしよう」だった。