ドイツで生まれ、アメリカに渡りカリフォルニアのライフスタイルに取り込まれて世界的な人気者になったフォルクスワーゲン・タイプ2、通称ワーゲンバス。その人気にあやかろうと、アメリカの自動車メーカー各社も、コンパクトなキャブオーバーのバンをリリースしていたことをご存知だろうか?本家のタイプ2に倣って、パセンジャー(乗用)、バン(商用)、そしてピックアップもラインナップした。これはフォードが1961年に市場に送り出したコンパクトバン『エコノライン』のピックアップ・バージョン。背景のシボレー・シルバラードからもわかるように、最近ロスの路地裏で見かけた個体だ。60年近く前にラインオフ、きっと何度もリペイントされ、現在の赤もだいぶ傷んでいる。本来フロントにあったはずのフォードのバッヂやドアのエコノライン・ロゴが見当たらないこともあって、若い世代の目には正体不明かもしれない。しかし、木陰に佇む姿は存在感抜群。こんなクルマに気負わず乗り続けることが出来る環境が揃っている、アメリカならではの風景と言えよう。