最近モーターサイクル・ネタが多いがあしからず。今回の主役はハーレーダビッドソンの中でももっとも大きな車体を持つツーリングモデル、その名も『Road King』である。荷物の積載能力も高く、二人の大人が余裕を持って跨がることが出来る車体は大きく重い。しかし今や1,500ccを越えるエンジンは必要充分な動力性能を持ち、それに見合ったブレーキ性能も確保されているから、走り出してしまえば思いのほか軽快、ロングツーリングのパートナーとして最適の一台と言えるだろう。僕も横断を含めた過去何度かアメリカ大陸ロングツーリングの際にはこれと同様のモデルを借り出してその素晴らしさを体感している。
このイラストを描くにあたってのクライアントからの要望は、「日本らしい風景をバックに」というもの。最新の2009年型、アメリカ生まれの『路上の王者』に相応しい背景として僕が選んだのは浅草。と言っても、日中は参拝客や観光客が途絶えることなく往来し、さらに門前の交番からは警官が目を光らせているから歩道に車輛を乗り上げることなど到底不可能。ゆえに実際にはあり得ない構図、イラストだから許されるものだと言えよう。
作画にあたっては、早朝の人の往来が少ない時間に雷門を訪れ資料写真を撮影、最新のハーレーは某所で開催された発表会の会場でのスナップを参考とした。完成したイラストは既に印刷物として発行されているのだが、ここにご紹介するイラストをあらためて見て頂きたい。お気づきだろうか、この立体感に。
僕のイラストを額装してくれている職人の西津昭三氏のアイデアにより仕上げられた額入りのイラストは、プリントされた複数枚のイラストを丁寧に切り抜いては貼り重ねて、いわゆる『Pop-Up Art』、立体画になっているのだ!
自前の平面作品にひと工夫を加えたことで新しい表情が生まれる、これはなかなかにエキサイティングな出来事だ。今回は既に描かれたイラストをベースに加工を行ったが、今後はこの手法の為に考え、描いたもので更に面白い効果を狙ってみるつもりだ。完成品は純粋な絵画でも切り絵でもなく、むしろ飛び出す絵本に近いものなのかも知れないな、などと思いつつ額装品を目の前にして今後の更なる展開の可能性に胸を膨らませている。