ジープ・チェロキーが大きく様変わりしたことをご存知の読者も多いだろう。時代の要求に高次元で応えた各種安全装備、272馬力を発生するスムースなV6 DOHC 3.2リッターエンジン、電子制御9速ATなど、人気の高いSUVカテゴリーの中にあっても一級品のスペックなど、商品性が一段と高まったと言えよう。しかし名前から誰もがイメージする角張ったボディを脱ぎ捨て、モダンになった姿に「チェロキーらしくない」という声も聞こえる。
では、一時ジープに深くはまり込んでいたことのある筆者が見た新型チェロキーはと言えば、「さすがジープ!」の一言に尽きるのである。フロントフェイスの7本スリットは元祖ジープから継承。あらゆる路面状況に対応するセレクテレインシステム。充分なアプローチアングルだけでなく、堅牢なスチール製のアンダーガードを装備。過酷なことで有名なカリフォルニアのルビコントレイルを走破したことをさりげなく主張する助手席裏側に隠された粋な仕掛け。随所に隠された、「ジープ」を直接的にイメージさせるグリルやシルエットの意匠なども遊び心に溢れている。新型ジープチェロキーに込められた哲学と遊び心は、なかなかのものなのである。