戦前の日本にはモーターサイクルを商用貨物車に改造した、前半分が二輪車、後ろ半分はトラックという三輪車があり、ベースには排気量が大きくパワフルなハーレーや陸王が選ばれることが多かったという。戦後、日本の自動車産業黎明期にも、商用車のカテゴリーにおいて、小型ではダイハツ・ミゼット、中型のトラックではマツダT2000を筆頭に「オート三輪」が一世を風靡した。ミゼットの前期モデルは丸いハンドルではなく、いわゆるバーハンドルだったし、クロガネ・オート三輪のコクピットなどは、サドルシートや燃料タンクの形状、取り付け方などに、モーターサイクルがベースとなっていた名残がある。1950年代後半には低価格な4輪小型トラックの普及により、事実上淘汰されるカタチになってしまった三輪車だが、近年、新たな趣味の乗り物として注目を集めている。
現在トライクなどと総称される三輪車に乗る理由は、実はいくつもある。二輪車とは比べるべくもない低速時や停車時の安定性、大きな積載量、人と違う乗り物を所有・運転する満足感、そして日本においては何よりも「普通免許で乗れる」、だから「ヘルメットの着用義務がない」という点が大きい。
イラストは先頃正規輸入販売が開始されたばかりの2014年モデル、ハーレーダビッドソンのトライクである。今これを選んで、大きなトランク部分に屋号を書き込んで街を走れば、目立つこと間違いなし。これ以上のプロモーションはないと考えるのは僕だけだろうか…。