アメリカの自動車パーツ店に行くと、そこは我が国のオートバックスやイエローハットなどとはいささか品揃えがことなり、あらゆるカーメーカー、車種ごとの消耗/補修パーツ、例えばオイルフィルターやエアフィルター、ショックアブソーバーなども揃う。もっと身近な場所、SEARS等のスーパーマーケットでは工具、それもかなり専門的なものや大きなツールボックス、電動工具やエアツールがごく普通に売られている。これらはこの国の人々が、かなりの割合で、自分でクルマをいじることをあらわしている。
そしてこのD.I.Y.(Do It Yourself)精神は、クルマの整備/修理や日曜大工に限ったことではない。例えば引っ越し。アメリカを旅行したことのある人なら、こんなカラーリングのトラックを見たことがあるだろう。これは引っ越し業者のトラックではない。自分で引っ越しをする人の為の引っ越しトラック、つまり『引っ越し専用レンタカー』だ。全米ネットのこの会社はご覧の通り、引っ越しの規模に合わせて様々なサイズのトラックを用意している。トラックの他にもバンや箱形のトレーラー、乗用車でも引っ張ることが出来る様々な形状のトレーラーなど、引っ越しだけでなく『HAUL=運搬する』為のあらゆるタイプの車輛を借りることが出来るのだ。パネルの前後左右には『格安のレンタル料金』、『自分で引っ越して節約しよう』、『乗り捨てOK』、『近隣への引っ越しにも最適』などなど、様々なコピーが踊り、サイドにはそのクルマが登録されている(営業所のある)州の名物がカラフルなイラストになってペイントされていたりもする。テキサス州ならカウボーイとか、フロリダ州はワニとか。キャビンの屋根まで被う荷室部分の側面にも小さなコピーが。よく見ると『ママの屋根裏部屋』と書いてあった。
D.I.Y.精神と遊び心。何もかもがハイスピードで流れていゆく現代だからこそ、大切にしたいものである。