ガソリン価格の高騰はアメリカ人にとっても切実な問題。いや、公共の交通機関がごく限られたエリアにしか存在しない彼の国の人々にとっては、我々日本に暮らす者以上に深刻な問題なのである。
このギャラリーでは初掲載の水彩によるイラスト、2006年暮れにラスベガスで開催されたSEMAショーでの一コマを描いたものである。GM(ジェネラル・モータース)の巨大なブースの真ん中で、華やかなスポットを浴びていたニューカマロのプロトタイプだ。カマロと言えば、60年代後半からフォード・マスタングと並びアメリカでもっともポピュラーなスポーティーカーとして人気のクルマ。そしてハイパフォーマンスモデルはビッグスリーのスポーツモデルたちと共に『マッスル・カー』の一翼を担う。当然ながら会場での注目度も相当なものだった。
そのニューカマロがつい先日、ほぼこのイラストのままのカタチでリリースされることが発表になった。報道によればV8モデルは6.2リッター、422馬力! マッスルの名に恥じないスペックだが、話題の中心は「このご時世、ちょっとあり得ないでしょー」な排気量にあらず。このエンジン、巡航時には8気筒の半分を休止させ省燃費走行しようという『アクティブフューエル・マネージメント』なるシステムを備え、1ガロンあたり23マイル、つまりリッター9.7キロも走るというのだ!
ちなみにベーシックグレードのV6、3.6リッター、300馬力モデルは26マイル/ガロン、リッター11キロ。更に時代の要求に応えるカタチで、カマロ史上初の4気筒エンジン搭載も検討中だとか。
大きいこと、力強いこと、That’s it!! そんなアメリカの象徴みたいな存在、それがこれまでのマッスル・カーだった。しかし、「変わらなければならない」、アメリカ人もそう考えるようになったのだ。そんな時代になってきたのだ。