大戦に際し米国防省のミルスペックを元に開発されたジープ。戦後はその設計を三菱が引き継いで国内でも生産、独自の進化を遂げながら1998年まで生産が続けられた。この車両は昭和48(1973)年製の三菱J54。アメリカ生まれの元祖ジープの直系、国産初代のJ3時代からのコンパクトな『ナローボディー』はこの年代まで。後継モデルは大型化され、本来のシンプルで軽快という美点は薄まっていった。つまりJ54は、ホンモノの血を色濃く受け継いだ最後のモデルなのだ。
ジープならではの開放感この上ないコクピットにドッカと腰掛け、大きなステアリングを操ってのドライビングは、他のクルマでは味わえない豪快かつ楽しいもの。ヒーター、ラジオ以外の快適装備や現代車のような各種パワーアシストは備わらないが、走って曲がって停まるというクルマ本来の機能は必要充分。
繰り返しになるが、これ以上にシンプルかつ魅力的なクルマはなかなかない。