日野製ルノー4CVやいすゞ製ヒルマン・ミンクス、日産製オースチンのA40・A50、そして皆さんご存知の三菱製ウィリス・ジープ。これは戦後日本の自動車工業黎明期に、より進んだ技術力を持った海外メーカーの技術を正式に譲り受け『ノックダウン生産』というカタチで日本製として世に送り出されたクルマたちである。
自動車が一般に普及しはじめたのは1960年代以降だが、モーターサイクルはそれより早く、自家用の他、三輪車に改造され貨物車として使われる例も多かったという。
1930年代に三共(現在の第一三共)がハーレーダビッドソンのライセンスを受けノックダウン生産を開始したことに端を発して日本国内で製造された『陸王』は大日本帝国陸軍や警察などでも使用され、国産モーターサイクルの草分けと言えるブランド。イラストのモデルは戦後10年以上が経過し、国内市場を小型車が席巻、時代遅れとなってしまった陸王が、そのブランドの末期といえる1958年に生産した750CccのRTというモデル。このモデルを愛用するオーナーの手によっていくつかのモディファイが加えられてはいるが、現存する貴重な一台を描いたものだ。