SUV、Sport Utility Vehicleとはアメリカ人が考え出したカテゴリーである。長い間ピックアップトラックを日常の足としてきた文化があるからこそ生まれた、アメリカならではのスタイルと言えるだろう。
だがSUVには実は厳密な決まり事がないように思う。そこで僕なりの独断と偏見に基づくSUVの条件を挙げてみよう。全長は5m、全幅は1.8m以上。車高が高く、オートマティックで前後のトルク配分が変動するフルタイム4WDが好ましい。2ドアまたは4ドアのボンネットのあるワゴンタイプ、またはピックアップで5名以上が乗車でき、キャビンは明るいカラーを纏っている。エンジンはパワーよりトルクに余裕のある大排気量のV6かV8。そして広々した居住スペースと高いアイポイントにより、ゆったり乗れて、楽しい気分にさせてくれること、これが最重要条件だ。
今年のお盆休みは、縁あってフォードのSUV、エクスプローラーと過ごした。このクルマ、まさに上の条件にピッタリマッチするものであり、当然のことながらアメリカ本国でもこのカテゴリーにおいてのベストセーラーカーの一台であるのだ。この2010年製V8モデルはエンジン・フィールも滑らかで、ハンドルも乗用車並みによく切れる。乗り心地もかつてのアメリカ製4WDほどのフワフワで腰砕けな感じはなく、燃費だって排気量を考えれば決して悪くはない。高速やワインディングを含むロングドライブもしたが、家族の評判も上々。僕自身も久しぶりに大型アメリカンSUVをドライブ、その進化に驚きつつも他の国籍のクルマにはないゆったりした雰囲気を大いに楽しんだのだった。
本国のフォードのサイトを覗いてみると、2011年モデルのエクスプローラーはこれまでの箱形のゴツいイメージとはほど遠い、柔らかい曲面で構成されたイマドキのSUVに生まれ変わるようだ。新型シボレー・カマロはあのアグレッシブな外観ながら燃費の良さも大きなセールスポイントにしているし、2011年モデルのマスタングも燃費の向上を声高にうたうそうだ。今や時代錯誤と言われてしまいそうなアメリカ車だって確実に進化を遂げている、そんなことを感じさせてもらった夏だった。