アメリカの自動車メーカーが毎年大掛かりなモデルチェンジを繰り返していた、ひたすら豊かさを、新しさを求めていた時代、繁栄だけを信じていた時代、そのまっただ中である1953年のFord Country Sedan。イラストのアングルやセダンという名があまりに不親切なのだが、このグリーンのクルマのボディー形状はワゴンである。Fordはクルマの名前にCountry(郊外・田園)やRanch(牧場・農場)というワードを冠してワゴンタイプのクルマをあらわしていた。そもそもWagonとは荷馬車のことであり、Station Wagonは言うまでもなく駅馬車、名前の付け方も実にアメリカンだ。そのクルマとともにあるおおらかで豊かな生活をも想起させてくれる、何とも素敵なお話しである。